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役立つ病害虫の話

  • 役立つ病害虫の話
  • Disease And Insect Damage

ジャパンアグリバイオの研究員が、皆様に役立つ病虫害の情報を連載します。

役立つ病虫害の話

バックナンバーの情報につきましては、発表当時の内容をそのまま掲載しております。文中の農薬に関しましては必ず最新の登録状況をご確認ください。今まで使っていない農薬を使用する場合は、お近くの種苗専門店や農協、公共機関ともご相談ください。

  • ガーベラうどんこ病を視覚的に理解する
  • 2014.4.25

 

 

 2014年3月中旬に部屋の窓際で管理していたガーベラに突然うどんこ病が発生しました。うどんこ病はどこからでもやって来るのですね。おそらく私が連れてきてしまったと思います。そして、そのコロニーは拡大していき、水はねしたように飛び火もあり、急速に広がってしまいました。

 

 

写真1:ガーベラの葉に発生したガーベラうどんこ病

写真1:ガーベラの葉に発生したガーベラうどんこ病

 

 白い粉のように見えるその正体を顕微鏡で確認してみました。
どんどん拡大してみると、葉の表面に菌糸が広がり、その菌糸からおびただしく鎖状の器官(分生胞子)が葉表面から縦に伸びている状況が観察されました。これが葉に白い粉がついたように見えた原因です。カビが無性生殖の方法で作る胞子は分生子と呼ばれています。自分のクローンとなる胞子をどんどん作っていたのです。

 

 うどんこ病菌は植物の表面を広がる病原菌ですが、植物から栄養分を摂取するために、所々で植物の表皮を貫通して植物細胞内に吸器という器官を作っています。そのため、養分を吸われた植物細胞はやがて死んでしまいます。ガーベラはじわじわと弱っていくのです。

 

 

写真2:ガーベラうどんこ病分生胞子の顕微鏡観察

写真2:ガーベラうどんこ病分生胞子の顕微鏡観察

 

 菌糸の形態や鎖状の分生子の大きさを確認するため、目盛りの付いた接眼レンズを用いた顕微鏡で計測し、そのスケールを実体顕微鏡で撮影した写真にはめ込んでみました。白い粉のように見える状態では、おびただしい数の胞子ができていることが容易に想像できます。

 

 

写真3:水に濡れたうどんこ病

写真3:水に濡れたうどんこ病

 

 最後にこの病斑に水をかけてみました。すると鎖状についた分生子が簡単に脱落し、バラバラになってしまいました。水滴の表面にたくさんの分生子が浮かんでいるのが写真でわかると思います。洗い流せるかもと思った人はいませんか?菌糸は残りますので、根本的な方法ではありません。

 うどんこ病の対策は 日ごろから過繁茂にならないように葉かきを行う事、また定期的な予防剤の散布が効果的です。発生した場合は初期防除に徹してください。

 役立つ病虫害の話では、2009年にも「ガーベラうどんこ病について」というテーマで記事を記載しております。バックナンバーのガーベラで見ることができます。こちらも参考にしてください。

(2014年4月25日)

[ TEXT:森本 正幸 ]

  • ガーベラ株枯病について
  • 2013.9.27

 

 ようやく、少しだけ秋らしくなった9月中旬に、今年新植のカーベラを視察させていただきました。そこで調子の悪い株を発見しました。今年は夏が暑かったので、高温障害かと思いつつよく観察したところ、生理障害とは違う症状でした。

 下の写真は6月下旬に定植し2ヶ月を過ぎたところですが、なぜか葉に勢いがないもの、また湾曲しているもの、中には枯死寸前の株も見られます。湾曲した葉の葉柄部を切ってみたところ、導管の褐変が確認されました。

 

写真1

 

 株の勢いがなくなる、昼間晴れると萎れやすくなるという症状は根部や基部が病気に侵されている可能性が高く、病原菌を特定するため、株を掘り起こし、基部および根部の観察と、葉柄部から病原菌の分離を試みました。

 下の写真のように、根の先端部からの腐敗、基部は内側から褐変していました。また葉柄部を表面殺菌し、無菌的にスライスして、カビを培養するPDA培地にスライスした葉柄を置床したところ、同じ種類のカビが出来てきました。

 

写真2

 

 分離した菌糸を顕微鏡で観察したところ、フザリウム属と思われる胞子を作り始めていましたので、Fusarium solani (近年 Haematonectria ipomoeaeに学名が変更されている)によるガーベラ株枯病と判断しました。
本病原菌は多犯性で、多くの植物への感染が報告されています。また、あらゆる植物が感染源になる危険性があります。

 

 

感染源は

 被害残渣、被害植物中の胞子などが感染源になり飛散や風媒で広がりますので注意が必要です。

 

発病しやすい環境と対策

 養液栽培(特にロックウール栽培)、未熟有機物施用土壌、多湿環境、株疲れを生じた時に多発しやすくなります。また、胞子は被害葉と根部の間に形成されやすく、収穫や葉かき作業による傷から容易に作物体内に侵入しやすいので、発病株を放置しないこと、また殺菌剤の予防的散布も有効です。
 発病が認められた圃場では、改植の際、ビニール資材は十分に消毒するか、新品と交換します。土耕栽培では土壌消毒が必要です。

 

 

最後に、もちろん弊社も保菌していない健全な苗作りを心がけています。

(2013年9月27日)

[ TEXT:森本 正幸 ]

  • 新植ガーベラに発生した生理障害 鉄欠乏について
  • 2013.8.9

 

 今年は7月上旬頃から真夏並みの猛暑がたびたびあり、暑さにはまいってしまいますが、この暑さは植物にとっても同様、過酷な環境ですよね。
 今回は7月下旬から8月上旬にガーベラ切花産地を回ってみて、今年新植のガーベラでいくつか生理障害が発生していたので、生理障害について調べてお話したいと思います。

 

 

下の写真のような葉の黄化は、鉄欠乏あるいはマンガン欠乏が疑われます。

写真 新植ガーベラに発生した生理障害

写真 新植ガーベラに発生した生理障害

 

 緑色の葉緑素クロロフィルの合成にとって、鉄、マンガンは重要な役割を持っています。これが欠乏するとクロロフィルが合成できなくなり葉が黄化してしまいます。マンガン(Mn) 鉄(Fe)は水にとけたイオンの状態で植物に吸収されますが、マンガンはほとんど植物体内を移動できません、また鉄も植物体内を移動しにくい微量要素です。そのため鉄欠乏およびマンガン欠乏はどちらも新葉から症状が出てくるのが特徴です。

 

 

今回は鉄欠乏について紹介したいと思います。

 

症状について

 鉄欠乏の典型的な症状は葉脈間の黄化であり、ひどい場合は出てきた新しい葉が最初からクリームイエローに黄化し、葉があまり大きくなれず、その後、葉の先端や葉脈間が壊死してしまう症状を示します。

 

 

考えられる発生要因

窒素過剰による鉄欠乏
リン酸過剰による鉄の不溶化
過乾燥、過湿、低温や高温による根系活力の低下
急激な生長によるバランスのくずれ

 

 

一般的な鉄欠乏の対処方法は

0.1〜0.2%の硫酸第一鉄、または塩化第二鉄の葉面散布を隔日に5〜6回続ける。植物によっては1%程度の高濃度でなければ効果がない場合もあるとの事。
鉄欠乏が土壌PHに起因する(アルカリ側である)場合、土壌PHを下げる。
重金属元素(銅、マンガン、亜鉛など)が過剰に存在するために生じる鉄欠乏症の場合、これらの金属の溶解度を下げるためにPHを7.5〜8にすると症状が軽減される。
根の活力低下が主な原因の場合、栽培環境、潅水のやり方などを改善する。
品種間差による場合、品種選定を考え直す。

 

 

 上の写真の生理障害は、急激に生長するタイミングの7月上旬に、例年より早く35度を越える猛暑が続き、これが植物の根にダメージを与え、根の活力が低下した事が原因ではないかと思います。黄化が発生している葉の位置からも想像できます。

(2013年8月9日)

[ TEXT:森本 正幸 ]

  • ガーベラうどんこ病について
  • 2009.12.25

 

ガーベラうどんこ病写真(左)ガーベラうどんこ病写真(右)

 

10月頃ですが鉢で育てていたガーベラをふと見ると、葉にうどん粉をふりかけたような白い粉が・・・今回はガーベラうどんこ病についてお話します。

 

■症状と診断方法:
うどんこ病菌にはOidium属、Erysiphe属、Podosphaera属などに属する100種以上の種があります。中には色々な植物に寄生する種類もありますが、主には菌種ごとにそれぞれ違う植物に寄生します。ガーベラうどんこ病はPodosphaera  xanthii、旧学名:Sphaerotheca fuscaというカビによって引き起こされる病気です。この病原菌は多犯性でナス科、ウリ科、マメ科、キク科、ゴマノハグサ科などの多数の野菜、花卉類、ホトケノザやオナモミなどの雑草にも感染します。

初期症状は葉にうっすらとした粉状の斑点となって現われ、やがて葉全体に広がります。ガーベラでは他の作物のうどんこ病より真っ白くはならず、ほこりがかぶったようになるので、気がつかない場合も多いです。しかし多発すると葉はしだいに生気を失って黄化しますので注意してください。

 

■伝染源と対策:
病斑上に形成された分生子(胞子)が風によって周辺に広がり、感染が拡大します。
発病しやすい温度は20-25度です。露地では春から初夏にかけてと秋に発病しやすく、温室内は一年中発病する可能性があります。
露地で発生しやすい時期は施設周囲の雑草も感染源となる可能性があるため、特に注意が必要です。
株が枯死することはめったにありませんが、発病により生育が抑制されるため、発生初期からの防除をお勧めします。

(2009年12月25日)

[ TEXT:森本 正幸 ]

  • ガーベラ 斑点細菌病について
  • 2009.3.27
 

 

今回はPseudomonas cichorii という細菌によって引き起こされるガーベラ斑点細菌病についてご説明いたします。

 

ガーベラ 斑点細菌病の写真

ガーベラ 斑点細菌病
A:初期症状 B:縁枯れに進展した病斑

 

症状:
初期症状は葉、葉柄に病斑が現れます。その病斑は不正形で暗色の水浸状斑であることが特徴で、後に暗色から黒褐色になってきます。この病斑はしだいに拡大し、病斑相互が融合して大形病斑となり、葉縁部に形成された病斑は葉脈に沿って進展、拡大してクサビ形病斑や縁枯れ症状を呈します。
発病適温は20〜28℃で、多湿条件になりやすい6〜8月頃に発生しやすく、また比較的冷涼でも、多湿条件になると多発しやすくなるので注意が必要です。

 

診断法:

よく似た症状にガーベラ紫斑病(Cercospora gerberae)、ガーベラ炭そ病(Colletotrichum sp.)などの菌類(かび)による病気がありますが、斑点細菌病の初期病斑は水浸状を呈すること、また、顕微鏡を使い病斑部に菌類の器官が存在しないことや、病斑組織から細菌があふれ出る現象を観察することで見分けることができます。

 

伝染源と対策:
この細菌はガーベラ以外にも多くの花卉や野菜類に発生し、葉枯れや斑点・腐敗症状を起こす多犯性の病原細菌で、多くのキク科雑草にも感染・発病します。感染した雑草が根圏土壌で越冬して感染源となることがありますので、注意が必要です。

対策としては伝染源となる雑草の除草、発病葉の葉かきなどが効果的です。

細菌病の場合、かび用の殺菌剤散布ではあまり効果がなく、銅剤や抗生物質くらいしか効かないので、薬剤散布は注意が必要です。

(2009年3月27日)

[ TEXT:森本 正幸 ]

  • ガーベラの「卵菌」による病害
  • 2008.8.1

 

あめ色に軟化腐敗した根写真

あめ色に軟化腐敗した根
(発病初期〜中期は白色の健全根も混在)

 

黒褐色に変色した地際茎写真

黒褐色に変色した地際茎

 

「疫病」や「根腐病」は、Phytophthora(フィトフトラ)属菌やPythium(ピシウム)属菌という卵菌というグループに分類される病原によって引き起こされる様々な植物種での病害の名称として主に用いられています。当ホームページでも既に他の植物種で紹介していますね。
卵菌の仲間は、例えば灰色かびや麹かびといった菌類とは大きく異なる特徴を持つことから、現在では分類上区別して位置づけられています。疫病や根腐病など「卵菌」による病害にほぼ特化した効能を持つ農薬が存在するのも他の「カビ」との大きな違いによるものと思います。

ガーベラでも「疫病」「根腐病」と呼ばれる病害があります。病原菌の種は異なるものの、ガーベラの場合はいずれもPhytophthora(フィトフトラ)属菌が病原とされています。
ガーベラ疫病(Phytophthora nicotianae
ガーベラ根腐病(Phytophthora cryptogea, Phytophthora megasperma

海外ではそれらに加えてPythium(ピシウム)属菌によるガーベラの病害も知られているほか、国内でもイチゴやバラの根腐症状の病原菌として知られているPythium helicoides(ピシウム ヘリコイデス)が接種試験ではガーベラにも病原性を示したとの報告があります。右の写真は、ロックウール栽培のガーベラで、萎れて枯死する株が多く見られたことから調査した時のものですが、根があめ色に褐変腐敗していたり、地際茎まで黒変するなど疫病や根腐病を思わせる症状でした。しかし、腐敗部位からは、Pythium属菌のみが分離され、Pythium属菌による病害であろうと推定しました。

このようにガーベラに感染しうる卵菌の仲間は多いであろうと考えられますが、ガーベラで萎凋・枯死症状を生じる病害は卵菌によるもの以外にもいくつか知られています。病原により可能な対処も異なってきますので、「下葉から枯れが進む」、「生育が悪くなった」、「萎凋・枯死株が出た」等の異変に気づいた場合には調査を依頼されることをお勧めします。

(2008年8月1日)

[ TEXT:縄田 治 ]

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