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役立つ病害虫の話

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ジャパンアグリバイオの研究員が、皆様に役立つ病虫害の情報を連載します。

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  • 新しい土壌病害管理法を考える
  • 2016.5.27

 

 土壌消毒した後は菌が少ないので、すぐに苗を植えた方が病気になりにくいと思いますか?
 実は、土壌消毒しても完全に土壌中の病原菌を殺すことは非常に難しく、少し残ってしまうことがあります。そこへすぐに苗を植えてしまうと、病原菌にとってライバルの微生物が少ない状況では、苗は病原菌の餌となってしまう可能性が高くなってしまいます。そのため、病原菌の増殖を抑える微生物を多く含む完熟堆肥や微生物資材の投入で、土の中の微生物相を改善しておくことも土壌病害予防に有効なのです。

 土壌の改良をするため土壌の性質を調べる土壌診断があるのですが、これまでの診断は物理性(液相 気相 固相)、化学性(土壌中の肥料成分、塩基置換容量CEC 酸度PH 等)の検査までで、生物性(病原微生物の有無、微生物の多様性)の検査は手間がかかり実施するのが難しいのが現状でした。土壌の生物性がわからないと土壌病害が心配となり、どうしても皆殺しの土壌消毒に頼ってしまいがちでした。

 しかし、近年、土壌中に含まれる生物由来のDNAを収集し、その塩基配列を解析する技術が開発され、どんな微生物が土壌中に含まれているのかを一気に分析することが可能となり、生物性の検査が現実的なものになっております。

 土壌病害が発生しにくい抑止土壌の要因は土壌中の微生物にあると言われておりますので、土壌中の微生物を把握できるようになることは非常に大きいことです。

 また、近年、(独)農業環境技術研究所が中心になって予防医学の発想に基づく新しい土壌伝染性病害の管理方法”ヘソディム”を開発しているという発表がありました。ヘソディムとは、「健康診断に基づく土壌病害管理」(HeSoDiM: Health checkup based Soil-borne Disease Management)の略称です。

 ヘソディムは、1)土壌の3要素(「物理性」、「化学性」、「生物性」)がどのような状況で土壌病害が発生しやすくなるか、そのデータを蓄積し、土壌診断によって発病のしやすさをできるだけ正確に評価する。2)土壌の評価に応じて発病抑制効果の高い資材、生物農薬、抵抗性品種の利用、土壌消毒などの予防的対策を提案する。というものです。

 今、世界と比べ土壌消毒に過度に頼りすぎている日本の農業の現状を変えていく必要性が出てきているのです。それには、ヘソディムの研究・普及が大きな鍵となるでしょう。

(2016年5月27日)

[ TEXT:森本 正幸 ]

担当研究員プロフィール

  • 森本 正幸

    各種病虫害の調査・診断と、そのために用いる技術の開発に取り組んでいます。関係部署と連携して生産者の皆様に健全な苗をお届けし、また病害虫の情報の提供などを通じて生産者の皆様をサポートしてまいります。
    私の好きな花は日本水仙です。両親の故郷が福井県の越前海岸にあり、1月下旬から2月下旬にかけて周辺の山一面に日本水仙が咲き乱れます。その景観は何度見ても感動します。越前海岸は房総半島、淡路島に並ぶ日本水仙の三大群生地のひとつで、その規模は日本一です。
    私も、お客様をサポートする病理担当として日本代表になれるようがんばります。

  • 担当研究員 森本正幸
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