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育種のトビラ
第2回:どげんかせんといかん

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人気雑誌『PLANTED』(以下プランテッド)とこのコラボ企画は、雑誌の発売日より少しだけ早く、今年の1月からスタートしていました。2007年末に行われたトークショーや関心空間で集められた読者のアイディアをもとにして、いくつかの植物種が選定されていたのです。これらについては既に弊社植物開発研究所の温室に育種材料が集められ、それぞれ育苗中であったり交配中だったりしています。プランテッドの次号が出るまでの間に、それらを1つずつ紹介していくことにしましょう。ただし具体的な植物種名はまだ内緒です。(2008年5月)

◆どげんかせんといかん

このプロジェクトをどげんかせんといかん! 去年の流行語大賞にあやかってでも、絶対に成功させてみせるのだ。

1つ目のコンセプトについては、こんな前フリで紹介してみたい。


このプロジェクトの一番難しい点は、とにかく早く結果を出さなければならないってこと。雑誌の連載企画である以上、やむを得ない。もちろんじっくりと長期間かけて取り組みたいコンセプトもあるが、今はまだ最短期間で品種を作れそうなテーマを優先しなければならない段階だ。

植物開発研究所写真1

写真)春爛漫の植物開発研究所入口

◆都市生活者のための品種を作ろう

プランテッドの主な読者は都市生活者。私はそんな読者の琴線に触れるような品種を育種してみたいと考えている。予想通り、ルーカス・ビービーさんからもそういう要望が出された。


じつは私は生まれも育ちも東京新宿。就職するまでずっと新宿に住んでいたから、都市生活者の気持ちは良く分かる。実家には猫の額ほどの庭があったが、1日に直射日光が当たるのはせいぜい2時間程度。そんな環境で植物を育てる苦労はよく知っている。都会の喧騒に馴染めなかった私は、地方勤務が可能な会社に就職した。栃木県に越してからは、寮や社宅でベランダーを目指したが、恥ずかしながら挫折。だから都会のベランダーが求める品種の条件だって十分に分かっているつもりなのだ。

ペチュニアの植え付け写真

写真)春はペチュニアの植え付けシーズン
私はどこでしょう?

◆初めの一歩はキーワード探しから

読者アイディアで一番多かったのは、香りのある植物の要望。最初のコンセプトは、迷わず香りのある花にすることにした。キーワードはscent(セント)。香りは英語でscentだからだ。もちろん既に育種材料も入手済みで、交配も始めている。うまい方に転べば、2009年の春に品種候補を選んでその秋に発表なんてことも可能になるかもしれない。幸運が連続したインプレシアの時と同じ展開になってくれればありがたい・・・。

インプレシア写真

写真)インプレシア イエロー

◆商品コンセプト、植物種の選定はどうする?

育種目標は『香り』と簡単に決まった。次はどのような生活シーンにその植物があるかイメージを固めれば良い。窓を開けるたびに、外気とともにこの花の香りを胸いっぱい吸い込むことが習慣化する。朝、この香りで脳を活性化させてから出勤し、帰宅したらこの香りを嗅いで癒される。このぐらい生活に密着した存在の品種。なかなか良いコンセプトではないだろうか。

しかし肝心の植物種の選定については非常に悩ましかった。最短期間で品種を作ろうと考えると、この春の交配で採れた種子から品種が生まれてくるような組合せを考えなければならないからだ。香りの遺伝は複雑なことが多い。まして私がこれまで育種したことがない植物だったら、なおさらだ。片親だけに香りがあっても子供には遺伝しないことも多いし、結局、交配する両親がともに香りを持つようになる植物を選んだ。

◆秘密の開発コード名は・・・

こういう訳で、第1のテーマの開発コード名は、『どげんかscentいかん』に決定。もちろんこれは私の秘密のコード名であって、普段は社内で明かされることなどない。開発の仕事は担当者のノリが成否を左右することも多いし、こんな駄洒落だって馬鹿にしちゃいけないと私は思うのだ。

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