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育種のトビラ
第10回:プランテッド#9の記事以降の進展

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今回の 育種のトビラ は、10月10日の取材以降の進展についてご報告いたします。(2008年12月)

◆どげんかscentいかん ⇒ エリシマム

胚珠培養で得られ、試験管の中で育っていた雑種を喜び勇んで馴化したのが9月上旬。しかしその株は、暑さのせいか管理の悪さのせいかすべて枯れてしまった。もちろん雑種自身が試験管の中でしか生きていけないほど弱いものだという可能性もある。なぜなら、比較のために同じ条件で馴化した雌親の方は、その後問題なく育ったから。

とはいえ全滅とは予想外であり、多少なりともショックだったのは事実。いくら期待に胸を膨らましても、それが長くは続かないのが育種の常だし、仕方がない。そんな時は潔く諦めるか、再挑戦するかのどちらかだ。

そこで12月4日に再度馴化を行った。それも培養苗の状態で特に元気な2個体のみ。

さあ、今度こそ。
エリシマムの写真

エリシマム
 プラントボックスの天井に頭が
つかえるほど元気な培養苗

◆これでいいんどあ♪ ⇒ カランコエ

エリシマムと違って、こちらは計画通り順調に進んでいる。花芽分化の早い株にはもう蕾がはっきりと見えてきた。年末にはチラホラ咲き始めてくれそうな感じだ。

じつは育種家にとって一番楽しいのが日々蕾が大きくなってくるこの時期。ついつい楽しい妄想にふけってしまう。なぜなら花が咲き、選抜が始まれば夢より現実。目の前の花達のオーディションを減点法で粛々と進めていかなければならなくなるからだ。

 

カランコエの写真

もうすぐ咲きそう。
コンパクトで草姿は良いかも・・・。

◆おらんロマン ⇒ バラ

プランテッド#9で明かした新たなテーマはバラ。エリシマムが屋外で楽しむベディングプランツで、カランコエが室内で楽しむ鉢物。そこで第3のテーマには切花を選んでみた。


何と言っても花の中でバラは特別な存在。別格と表現しても構わないだろう。だから花の育種家としてずっと気になる対象だった。ただ成功へのハードルはとても高い。常に利益を生む品種を育種することが使命のプロとして、こういう企画でもなければ簡単には挑戦する気にはなれない花だ。今回は軽い気持ちで、ひょっとしたらという期待と僅かな自信に賭けてみようと思っている。
ここでの僅かな自信というのは単なる願望ではない。ちゃんとした勝算はあるのだ。もちろんすべてが良い方向に転んだらという前提だが・・・。


いつも通り、まずは両親の選定からスタート。私自身がバラ好きだということもあり、親を選ぶこと自体は簡単だった。普段から花を眺める際には何でも、もし自分で育種するとしたらといった目で見ているからだろう。ここまでは1月の話だ。


しかし春に張り切って交配を始めたのは良かったけれど、早速問題にぶち当たってしまった。
全然結実しないのだ。相性が悪い組合せだったんだろう。何となく簡単に種子が採れるものだと思っていたので、代わりに使う品種などは用意しておかなかった。仕方がないので交配を継続。やっとのことでいくらかは種子を採ることができた。この貴重な種子は、発芽を良くするために現在低温吸水中だ。


それにしても種子が少ない。この量じゃ良い個体は得られないだろうな、と思いながらもどこかで期待している自分がいる。

いつものことだ。

 

バラの種子の写真

発芽を良くするために
冷蔵庫で吸水中の種子。

 

ハマナスの写真

自宅のハマナス。
日本を代表する野生バラ。

◆ルックッキング ⇒ ? (まだ秘密)

AとBを交配して、というやり方(交雑育種)とは違って、個体間の小さな変化を見極めてその株の種子を採り、少しずつその変化を大きくしていくのが選抜育種。ルックッキングはこの選抜育種で改良を進めている。だからまだまだ変化は少ない。こちらはちょうど2世代目の採種を終わらせたところ。これまでの経験上、もし大きな変化が起こるとしたら次の世代だし、ようやく楽しみになってきた。具体的な植物種名は、次の世代でうまくいったら発表するつもり。

播種は来春の予定だ。

◆お知らせ

秘密の開発コード名:これでいいんどあ♪(カランコエ)については、1月から選抜を開始することになっていますが、せっかくの楽しい選抜に皆さんに参加していただける企画を計画中です。

詳しくは関心空間上でお知らせいたします。お楽しみに。

 

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