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育種のトビラ
第14回:カランコエの選抜

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今回の 育種のトビラ では、関心空間人気投票を行っている最中のカランコエを中心にご報告いたします。(2009年3月)

◆ベルタイプのカランコエ

最初にベルタイプのカランコエの現状について触れておきたい。

普通のカランコエは、マダガスカル原産のカランコエ・ブロスフェルディアーナというただ1種の野生種から改良されてきたとされている。凍らせさえしなければ、気が向いた時に水をあげるだけでまず枯れることのない丈夫な植物だ。それに豊富な花色の一重や八重咲きの花を咲かせることで、世界中で人気のインドアプランツになっている。

 

一方でベルタイプのカランコエは、普通のカランコエに比べて明らかに劣っている点が3つあるため、なかなかメジャーな存在になれずにいる。

 (1) 花の色幅が乏しい。またその花色があまり綺麗でない。
 (2) 開花が遅い。
 (3) 一花寿命が短い。

 

こんな欠点があっても、釣鐘状の花をたくさんぶら下げて咲く姿を好む人は割と多い。しかし小売価格が普通のカランコエとほぼ同じなのに、栽培期間が長く生産コストが余計にかかるため、どうしても生産者に敬遠されてしまうのだ。この状況を打開して高く売れるようにするためには、何といっても花色を豊富にすること。そして誰にでも好まれる綺麗な花色に改良することだ。今の冴えない赤茶色や橙色ではなく、澄んだ赤や黄色の品種を育種するのが第一目標ということになる。

 

さて、肝心の選抜(オーディション)の方だが、目ぼしい株を選ぶ一次選抜を3月上旬に終了した。そしてルーカスさん達の取材を待って、選抜した61株を除いて、すべてを廃棄処分にした。もちろん関心空間のアンケート企画用に選んだ8株もこの中に含まれている。この先はそれぞれの株を良く観察し、どの株を品種候補にし、どの株を交配に用いるかを慎重に決めるつもり。

 

最後にここまでの選抜の概要だが、

 (1) 色幅は広がった。黄色の個体を獲得。赤とまではいかないが朱色の個体を獲得。
 (2) 全体的に開花はまだまだ遅い。もう少し早くなっていることを期待していたのでちょっと残念。
 (3)

一花寿命は短いままのよう。ひょっとしたら長くなっている個体もあるかもしれない。

といったところだ。

 

 

 

カランコエの写真1

待望の黄色の花を咲かせる株

 

カランコエの写真2

花着きがとても良い株

 

カランコエの写真3

まるでモダンアートのような帯化株

 

カランコエの写真4

ハートマークにも見える帯化株

◆スプレーローズ

バラの育種目標は、小輪で花着きの良いスプレーローズだ。発芽して9cmポットに鉢上げしたものは、これまでに75本。 発芽率は30〜40%と予想していたので、まあまあいい線いっているということにしておこう。種子さえもっと多く採れていれば言うことなしだったのだが・・・。

 

全く経験のない植物を育種するのは純粋に楽しい。何も知らないということは何も失敗したことがないってことだから、楽しい夢ばかり。もちろん私も常に成果を求められるプロである以上、いくつかの仮説を持って臨んでいる。この仮説だって、たぶんバラの育種家にとっちゃ常識なんだろう。でも、ひょっとしたら・・・。仮説の1つぐらいは逆転の発想なんじゃないか・・・。こんな風に思いを巡らす段階もまた楽しいものなのだ。

 

★このアンケート企画の詳細につきましては、PLANTEDのオリジナル植物を作ろう!プロジェクト

 

バラの写真1 バラの写真2

種子からすくすくと育つ苗

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