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育種のトビラ
第19回:ノリアサ?

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今回の 育種のトビラ では、オクラとトロロアオイの種間雑種についてご報告いたします。(2009年8月)

◆雑種はできたけれど・・・

面白半分で交配してできてしまった雑種。
まずはこの種間雑種について調べてみなければ。
どんな開発でもそうだが、自分では一番乗りだと思っても、既に誰かが同じようなことをやってしまっている例は多いからだ。

 

このプロジェクトはあくまでも普段の仕事とは別扱い。先が読めない展開になり易いように、敢えて行き当たりばったりで進めている。ここでの行き当たりばったりの意味は、事前に色々調べ過ぎないということ。カッコよく言えば、計算せずにノリで勝負ってところだ。

 

とはいっても仕事は仕事なんだし、雑種ができたところで色々調べるのは当たり前。まずは手軽にインターネットで調べてみた。そしたら、あっさり見つかってしまったのだ。この種間雑種が既に作られていた記録が。
それも今から65年も前のこと。なんとこの日本でだ。
世界初のオクラとトロロアオイの雑種は、1944年に京都大学の香川冬夫教授によって作られたとある。

私自身、オクラとトロロアオイの種間雑種が作られていたとは聞いたことがなかったし、ひょっとしたら一番乗りになれたかもと期待していたぐらいだ。でも良いのだ。同じ日本人育種家の成果だったんだし。こうして思わぬ形で大先輩の業績を知ることができたんだから。

比較写真

比較写真。

左:紅オクラ、中央:雑種、

右:トロロアオイ

◆ノリアサ?

香川氏は、この種間雑種を糊麻(ノリアサ)と命名していた。名前の由来はこうだ。
葉が麻(アサ)の葉に似ているから。

アサはアサ科で、オクラやトロロアオイが属するアオイ科ではない。ちなみにアサは今年何度となく世間を騒がした大麻と同じだ。そして糊の方だが、樹液にねばりがあるから。ねばねばしたアサのような植物という意味だ。

 

もちろんノリアサの特性についても記録されていた。簡単にまとめると・・・

草姿はよりオクラに近いが、より生育旺盛で背はオクラより高くなる
花はトロロアオイ並で、オクラよりずっと大きい
実はオクラと同様柔らかく食用可能
根にはトロロアオイと同じ成分が含まれて、和紙の原料として使用可能
茎には同じアオイ科のケナフと同程度の量の繊維を有する

 

ケナフと言えば、10年前ぐらいからCO2削減の切り札、環境に易しいエコ植物として一躍脚光を浴びた植物だ。(ちなみにケナフの和名は洋麻)

さて、こんな良いこと尽くめのように思われるノリアサだが、その存在すら忘れられる状況にあったのは紛れもない事実。ノリアサがなぜ歴史の表舞台から消えてしまったのか、がぜん興味が湧いてきた。

さて、どこからどうやって調べようか・・・。

種間雑種の写真

種間雑種の葉と蕾

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