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育種のトビラ
第28回:「植物はヒトを操る」発売!

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今回の 育種のトビラ では、オクラのその後と新しい本についてご報告いたします。

◆ルックッキング:オクラ(ノリアサ)
オクラ比較写真

オクラ比較

しいな写真

しいな

紅オクラとトロロアオイの雑種から採ったタネ(F2)のうち、オクラのタネと同じ大きさのものがほぼすべて発芽したのに対し、なぜかトロロアオイと同じ大きさのものは播種後1ヶ月たっても1本たりとも発芽してこなかった。


「おかしいな・・・  ひょっとして・・・」


いや〜な予感がしながら播かずに残しておいたタネを割ってみると・・・


「やっぱりそうか。 くやしいな・・・」


硬い殻の中は空っぽ。何粒割ってみても同じ結果。トロロアオイと同じ大きさのタネは、すべてしいなだったのだ。しいなとは、中身が正常に生育できなかったために発芽能力を失ったタネのこと。でも、雑種ができ難い種間雑種では比較的良く起こることなのだ。だからこそ立派な種皮とトロロアオイと同じ大きさだということに目を奪われ、しいなということに気づかず播種してしまった自分が恥ずかしいな。


反省・・・



もちろんオクラと同じ大きさのタネから発芽した苗の方は、写真の通り順調に生育している。F2集団は通常、おじいさんとおばあさんの形質をバラバラに引き継ぐために、色々な形態の株が出現するのが当たり前。なのに、これらの苗には形態的ばらつきがほとんどない。ノリアサは複二倍体だとした過去の研究報告の通りになっている。

◆『植物はヒトを操る』発売!

せいこうさんとの2ショット写真

撮影:須藤夕子

植物はヒトを操る

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いとうせいこうさんとの植物対談集『植物はヒトを操る』が、5月26日に毎日新聞社から出版された。「人と自然をとらえなおす」という副題もついて。 『パパの楽ちん菜園』同様、こちらも育種のトビラ本という位置付けだ。


育種会社に勤めるプロの育種家として感じてきた、植物の凄さを精一杯盛り込んだつもり。だって一人でも多くの人に、まだあまり知られていない植物の魅力を面白おかしく伝えたかったから。


この本が実現に向けて動き出したのは、1年以上も前に行われたプランテッド最新号の刊行記念トークショーにまで遡る。

じつは、いとうさんの「育種の話すごくおもしろいから、本にしようよ。」の一言が、すべての始まりだったのだ。『ボタニカル・ライフ』に衝撃を受けた者の一人として、またいとうさんの次の植物本を待ち望む者の一人として、こんな機会を逃す手はない。二つ返事でというより、無理やりお引き受けしたという感じだったかもしれない。


いとうさんの話芸にも助けられて、4回に及んだ収録は毎回大盛り上がり。そしてあらためて自分なりに植物の魅力を再確認することにもなったのだ。で、キリのない植物談義の一番美味しい部分だけをギュギュッと搾り、植物の知識がない人でも楽しめるように構成し直したのがこの本。普段から身の回りに当たり前のように存在する植物と植物由来の素材について、少しでも興味を増していただければ嬉しい限りだ。


最後に、どんな方にでも読み易いように編集してくださった永上さん、柳さん。親しみ易いイラストを書いてくださった内山さんにこの場を借りて御礼申し上げます。

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