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育種のトビラ
第29回:ノリアサのF2達が開花!

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今回の 育種のトビラ では、オクラのその後と『植物はヒトを操る』刊行記念トークショーについてご報告いたします。(2010年6月25日)

◆ルックッキング:オクラ(ノリアサ)

しいな騒動では動揺したけど、紅オクラとトロロアオイの雑種から採ったタネ(F2)で無事育ったものは27株。今はこれらが次々に開花してきている状況だ。開花し始めた時期は♀親になった紅オクラとほぼ同時で、ちょうど2ヶ月後。花の品種の場合、2ヶ月で咲けば優秀な方。一方で、♂親のトロロアオイはまだまだ咲く気配はない。


予想外というべきか予想通りというべきか、普通は色々な形態の株が出現するF2集団でありながらも、草姿はどれも皆同じ。65年前の香川教授の記録通り、今回得られた種間雑種も複2倍体だからなのだろう。


残念ながら、大きな形態的な変化は無かったが、細かく観察してみると個体間の違いは結構ある。開花の時期や草丈、花の大きさや雄しべの数。特に種間雑種自体から採れたタネの大部分がしいなだったことから、この雄しべの数の差の違いは面白い。


そもそもルックッキングの一番の育種目標は、花を見て良し、実を食べて良し、その上ベランダで育てても嬉しくなるような品種。具体的には、以下の特性を兼ね備えた品種だ。


(1) 花が大きく → 花がより綺麗
(2) 開花時間が長く → 花がより目立つ
(3) 分枝が多く → 収量アップ
(4) あまり草丈が高くならず → 見苦しくならない
(5) 実が美味しい → これは当然


(1)と(2)は実現。(3)は可能性あり。(4)は厳しそう。(5)は不明。


さて、今後の進展はどうなることやら。

正常な種子が少なく、採れるのはしいなばかりという問題も解決しなければ先には進めない。だからこそ、今回の選抜が非常に重要なのだ。

ノリアサの花。オクラよりも大きく、一花寿命が長い。 個体によって早晩性の差はかなりある。左:晩生の株 右:早生の株
ノリアサの花。オクラよりも大きく、一花寿命が長い。 個体によって早晩性の差はかなりある。左:晩生の株 右:早生の株

正常な数の雄しべの花 雄しべの数が少ない花
左:正常な数の雄しべの花 右:雄しべの数が少ない花
・・・この雄しべの数の差の違いは面白い。

◆ルックッキング2:(まだ内緒)

こちらもF2集団の個体選抜を行っているところ。形態はそれこそ千差万別。おじいさんとおばあさんの形質が複雑に入り混じった株ばかり。


ところが、良いトコ取りのこれは凄いって驚くような株はまだ見当たらないのだ。期待できそうもない株はどんどん捨てていっている一方で、見込みのありそうな株については今後の育ち具合に期待、といった状況だ。

◆『植物はヒトを操る』刊行記念トークショー

植物はヒトを操る

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6月8日、『植物はヒトを操る』刊行記念トークショーが行われた。 場所は、青山学院大学の向かい、国連大学隣りの青山ブックセンター本店。 もちろん本と同じく、いとうせいこうさんとの対談形式で。


植物のプロにも、植物マニアにも、植物にほとんど関心のない人にも、植物って面白いと感じてもらいたくって作った本だけに、この日集まってくれた約100人のお客さん達がどんな風に受け止めてくれるかが気になった。本の時と同じで事前打合せ無しのトークだというのも、気がかりだったしね。


で、結果は大盛り上がり。話芸の達人いとうせいこうさんに助けられたこともあったけど、自分自身でこうして植物の話題を楽しみながらもっと多くの人に関心を持ってもらうことは可能だと実感できたのが一番の収穫になった。ノリの良いお客さん達にはただただ感謝。


今回2冊の園芸本をほぼ同時に出版することができたのも、多くの人が支えてくれたお陰。だからこそどちらも長く愛される本になって欲しいというのが正直な気持ちだ。


不思議なことに、この気持ちは毎回新品種を発売する時とまったく同じ。そして、次はもっと良いものを、という気持ちがすぐに湧いてきたのもまったく同じだ。

せいこうさんとの2ショット写真 せいこうさんとの2ショット写真

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