バックナンバー

育種のトビラ
第35回:山あり谷あり猛暑あり

バックナンバーはこちら

今回の 育種のトビラ では、ルックッキングとこれでいいんどあ♪のその後についてご報告いたします。(2010年12月26日)

 

◆ルックッキング:オクラ(ノリアサ)

 ノリアサの果実は堅くてとても食べられるものではなかった。そして最後の望みを託した紅オクラへの戻し交雑だが、気合を込めた交配のお陰でなんとかタネが採れ、それを播いたところまでは報告済。


 オクラにノリアサを戻し交雑した種子の栽培記録は、私が調べた限りでは存在しない。過去に交配しようとした人がいないのか、いたとしてもタネが採れなかったかのどちらかだろう。いよいよ前人未踏の領域に突入だ。


 さてさて喜び勇んで11月6日に播いたタネについてだが、こちらのドキドキワクワクの期待に反してまったく発芽する気配がなかった。コントロールの紅オクラはとっくに発芽して子葉を展開し、その付け根には小さな本葉が顔を見せ始めたというのにだ。


おかしい・・・

まさか・・・

ひょっとして・・・


一気に期待がしぼみ、代わりに嫌な予感が頭を占めるようになった。


発芽能力を失っているのかも・・・


 オクラにトロロアオイを交配して得られた種子には、中が空っぽのしいなが多く含まれていた。同じ過ちを繰り返さないように、今回は事前に種子を割って中身が入っていることを確認していたのだ。それなのに・・・


遠縁交雑による育種の際には、正常そうな種子に見えて発芽しなかったり、発芽してもその後の生育が異常になってしまうことがよくある。今回もそのパターンかと諦めかけていたところ、コントロールに遅れること10日目、ひょっこり土から頭をもたげた発芽個体を発見したのだった。


やったぜ!


 その後次々と芽を出してくれるかもとも期待したが、結局125粒播いたうち、発芽したのはわずか9個体のみ。それでもゼロとは大違い。こうしてまだまだルックッキングの物語は続くのだ。

戻し交雑して得られたタネを播いたら…

戻し交雑して得られたタネを播いたら…

わずかに得られた苗のアップ

わずかに得られた苗のアップ

◆これでいいんどあ♪:カランコエ

 今年も続けているベルタイプのカランコエ育種。気がつけば超お久しぶりの報告となってしまった。続けているということは、ちゃんとタネも播いていたってこと。そりゃー、今年こそ品種候補となり得る有望個体がたくさん選抜できる自信があったから。播種日は6月8日。去年は6月3日に播いたから、ほぼ同じ時期。例年通りすべてが順調に運んでいるはずだった。


 それなのに何で報告しなかったのかと言えば、そうし難い状況になってしまったから。今はもう寒さが辛い時期になってしまったけれど、思い返して欲しい。今年の夏の状況を。思い出しただけでクラクラするような、過去に例のない猛暑! 熱中症で亡くなられた方の数が、例年の約10倍にも達する暑さだったのだ。


 多肉で暑さに強そうに見えるカランコエ。でも生育適温は20℃前後と、じつは暑さが苦手な植物なのだ。夏の温室は気温プラス5℃くらい、例年でもカランコエにとっては息絶え絶えの状況。それが今年は異常な暑さだったから、多くの苗が夏を越せずに枯れてしまったというわけだ。これまでで一番期待していただけにショックが大きく、ついつい現実逃避をしてしまった。今日まで報告を先延ばしにしまったことはお詫びしたい。


 それでも猛暑にめげず生き残った精鋭達は、生育が遅れたものの今こうして目の前で元気を取り戻している。そして早いものは既に蕾を見せ始めているのだ。個体数はずいぶんと減ってしまったけれど、優れた耐暑性を持つ品種を作れると思って期待して待つことにしよう。

猛暑を乗り切った苗達

猛暑を乗り切った苗達

見えてきた花芽

見えてきた花芽

前の記事を読む 続きを読む

 

▲このページの上部に戻る

Copyright 2016 Japan Agribio Company,Limited,All Rights Reserved.