- 役立つ病害虫の話
- Disease And Insect Damage
ジャパンアグリバイオの研究員が、皆様に役立つ病虫害の情報を連載します。
バックナンバーの情報につきましては、発表当時の内容をそのまま掲載しております。文中の農薬に関しましては必ず最新の登録状況をご確認ください。今まで使っていない農薬を使用する場合は、お近くの種苗専門店や農協、公共機関ともご相談ください。
- カランコエのウイルス病について
- 2009.5.29
今回は、弊社が販売する『鉢物』主要品目の一つであるカランコエに感染する、2種のウイルス病をご紹介します。 カランコエはカーネーション、キクなどと同様に栄養繁殖(挿し穂)で増える品目です。このため、一度感染すると農薬で防除できず容易に増殖してしまうウイルス病には、特に注意が必要です。
●カランコエ モザイク ウイルス: Kalanchoe Mosaic Virus (KMV) このウイルスはアブラムシによって媒介されます。カランコエの葉が若い時には、モザイク(まだら)模様が見られますが(写真1)、葉が生長し古くなるに従ってこの症状は見えにくくなります。感染の濃度が高くなると、株の生育が悪くなるなどの障害が出ます。
●インパチェンス ネクロティック スポット ウイルス: Impatiens Necrotic Spot Virus (INSV) スリップス(ミカンキイロアザミウマ)によって媒介され、多くの種類の園芸作物に感染します。カランコエでは葉に病徴が現れ、若い時には写真のような輪紋症状が見られます(写真2−1)。葉の生長に従って、輪紋の部分に壊疽(※)を引き起こすなど激しく症状が現われます(写真2−2)。そしてウイルスの濃度が高くなると、株の生育障害を生じます。 ※壊疽(えそ): 植物の細胞が死に、枯れること
●病害の防除: 一度カランコエの株にウイルスが感染すると、その株からウイルスを除くことは非常に困難です。このため、写真に示した症状が見られた場合は、感染した株を廃棄することが大切です。 また、これらのウイルス病は、いずれも虫によって感染しますので、虫の防除も重要です。株にスリップスやアブラムシを見つけたら、捕殺するか、アセフェート系の水和剤や粒剤などで防除してください。
カランコエは丈夫で育てやすく、花色や花型も豊富で年間を通して楽しめる品目です。一重咲きの『ミリオンスター』、八重咲きの『カランディーバ』にはこれからもどんどん新しい品種が登場します。そして、FIDES社優良苗育成システムにより育成された、無病で生育の優れた苗を引き続きご提供させて頂きます。 (2009年5月29日) |
[ TEXT:工藤 博司 ] |
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